晩御飯を食べ、リビングで母が見てた映画を何気なく見ていた。内容はアクションで、母の話では悪役の人気も高い作品らしい。最近多いよな。かっこいい悪役。
やっと先が気になるところまで集中してきた頃、電話が鳴った。
「曲が出来たから聞いてくれない?」
いつからか、教室で私が聴いていた曲をあいつも好きだったようでそれを見込まれ、私はあいつの曲を試し聞きする役になった。
夏は過ぎたが、外はまだ明るい。いつもなら大丈夫だけど今はこの主役と悪役の関係性の方が気になる。
音源なんだから学校でもよくない?というか急ぎならあとで携帯に送っといてよ。
あの二人は実は兄弟かもしれないのに。
「今日は弾き語りなんだよ」
ピクッと反応してしまった。それはちょっと見たい。
行先は家の近くの河川敷。まあ、続きは帰って見ればいいのだ。
散歩や走る人は時々通る程度で、人通りは少ない。
夕焼けは完壁だった。もう何百回と見ているのに毎回感動してしまう。呆れるわ。
ボーっと眺めているとギターを担ぎ、自転車にのった彼が到着した。
「よおー」ラフな挨拶とギターケースが似合っていた。
「夕日きれーだなー」そんなことも手放しで言いあえる夕日は、改めてすごいと思った。
近くの自販機に行く途中で、今見ていた映画の話をした。彼もこの映画を見たらしく、悪役がお気に入りと言っていた。
兄弟だったら悲しいという話をすると、
「んー、でも彼らはそうじゃなかったら会えなかったかも」
・・・そういう見方は自分にはなかった。「でも、悲しいけどね」彼は付け加えた。
「今日の曲は、この河川敷、もうちょっと家の近くの上流のほうで作ったものだけど―――」
また言い訳じみた説明が始まったが、この夕日が照らされた川を見ていると自分の中身が流れていくような感情になり作った曲らしい。そしてそれが今さっきらしい。
歌いだす前は恥ずかしそうだったが、一呼吸入れた後、彼はすぐに歌いだした。
歌っている間、私は夕日と彼の曲とあの映画の結末と、今日の夕飯のことを考えていた。
そのことを伝えると、「俺もずっとお腹空いてた」
そりゃ晩飯時だもんな。来ない間食べようと思っていたグミを2人で食べた。
泣くほど感謝された。
あいつが作った他の曲「りんご飴」
https://nico.ms/sm37362348絵:ぼんでぃ様
https://twitter.com/bon_deiミックス・マスタリング:さぶろう様
https://twitter.com/saburousan3263
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