私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに家路につけば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気のんきさを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧わいた災難、ささらの足は、はたと、とまった。見よ、左方のコンビニを。たまにしか見ない屋台があるではないか。先ほど打ちのめした空腹感が鎌首をもたげようとしている。ささらは歩道にうずくまり、女泣きに泣きながら携帯を取り出し、つづみに哀願した。
「ああ、許したまえ!太陽も既に真昼時。買い食いすることができなかったら、わたしは恐ろしい魔物に飲み込まれてしまいます。」
つづみは、ささらの叫びをせせら笑う如く、冷然と二、三言告げると一方的に通話を切った。
〜 『怒れささら』より一部抜粋 〜
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