街中が注目する事件の判決を待ちわびる人々で、法廷は埋め尽くされていた。その中で、ひときわ異彩を放つ人物がいた。それは、天使であった。その天使は大理石でできており、その肌は冷たく不屈で、その目は死のように青ざめていた。
裁判官が部屋に入ると、会話の喧騒が静まり、皆が手続きに注目した。被告人が呼び出され、裁判官は彼らに対する罪状を読み上げ始めた。しかし、大理石の天使は動かず、その視線は被告人を見つめ、表情は読み取れない。
裁判が進むにつれて、会場の緊張が高まってきた。証人たちが呼び出され、それぞれの証言が、被告人とその出来事について、さまざまに描き出した。しかし、大理石の天使は黙って座っていて、その目は決して被告人から離れない。
判決が出たとき、法廷内は怒号と安堵の声に包まれたが、大理石の天使はその表情を変えずにじっと座っていた。そして、群衆が散り始めると、天使はその座から立ち上がり、羽ばたきながら、見た者の心に寒さと不安だけを残して、宙に消えていったのである。
被告人は退廷し、法廷内は空っぽになり、人々は日常生活に戻っていった。しかし、大理石の青白い天使の姿は、その場に居合わせた人々の心に残り、人々の心を魅了し、様々な憶測を呼ぶようになった。ある者は、天使は被告人を裁くために遣わされたもので、その存在は神の報復のしるしであると囁いた。また、天使は死の前触れであり、罪を犯した者の魂を回収しに来たという説もあった。
人々が何を信じたかは別として、この裁判と大理石の天使の出現は伝説となり、正義と裁きの訓話として語られた。
...
年月が経つにつれ、人々はこの裁判のことも、法廷に現れた青白い大理石の天使のことも忘れ去り始めた。しかし、一人だけ、その記憶が鮮明に残っている人がいた。彼は被告人の息子で、父の裁判と天使の出現を見たことが、彼の心に深く刻み込まれたのだ。
彼は不眠症で、鮮明な夢と、寝ても覚めても落ち着かない心に悩まされていた。しかし、それでも彼は、天使の真実を明らかにするために、あらゆる文献や記録を研究することに生涯を捧げていた。蝋燭の明かりの中で古文書を読み、埃まみれの書物を読み、数え切れないほどの時間を費やした。
そして、長年の研究の末、ついにある古文書から天使に関する謎めいた記述を発見し、彼は大きな謎のほんの一端を明らかにしたことに安らぎを覚え、少しだけ眠る。
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