特別、朝が得意という訳ではない。<br> <br>「…プロデューサー。プロデューサー起きてください」<br>『…ん、う』<br>「世界一可愛い担当アイドルが、目の前にいますよぉ〜♡」<br>『んぐ…お、おはようございます』<br>「おっはようございます! ようやくお目覚めですね♡」<br>『…藤田さんはよく眠れたようで』<br>「えへへっ。家でよく朝の支度してるんで、あたし朝には強いんです」<br>『なるほど。それは見習いたいもので…ふぁ』<br>「…って、ちょっとぉ! さっそく二度寝しようとしないで下さいよ!」<br> <br>愚鈍に眠る時間とは心地良く…しかし生産性は無く、葛藤する自分がいる。<br> <br>「今日がスーパーの特売日なんですってばぁ!」<br>『…こうなるだろうと思って、事前にスーパーまでの所要時間を概算したのですが。開店までに着くにはまだ15分くらいの猶予が…むにゃ』<br>「ひぇ〜ホントに寝にかかってるし! 噂には聞いてましたけど、大学生ってみんなこんな感じなんです!?」<br>『先生以外に友人が殆どいないので分かりません』<br>「ごめんって」<br>『それではまた20分後に…スヤァ』<br>「さっきより増えてるし! もぉ〜〜っ!」<br> <br>それでも尚、睡魔に負けて横になる後ろめたさは計り知れない。<br>でも。<br> <br>「(…あ、さては)」<br>「(プロデューサー…もうちょいあたしと布団の中で一緒にいたくて、ウダウダ言ってるんじゃ?)」<br>「…まったくもぉ、仕方のないプロデューサーですねぇ〜♡」<br>「目を閉じてる人へのご褒美は…」<br>『(…?)』<br>「…ちゅっ」<br>『…!』<br>「えへへっ。目、覚めました?」<br>『藤田さん…』<br>『熟睡してたので気付きませんでした。目を覚ましたいのでもう一度お願いします』<br>「ダメで~すっ♡ さっ、早く起きてスーパーに特売日デート行きますよ!」<br>「それに…まだ、ちょっとだけ恥ずかしいんで♡」<br> <br>あなたと一緒の布団の中なら、思いの外悪くない。