ある夏の日。
「お願いがありますのぜ」
いつになく神妙な面持ちでかのせなさんが切り出してきた。
準所属であるプロダクションがいつも以上に張り切っている。
特に社長は「ウチのアイドルたちにとって飛躍の夏にしたい」と奮戦しているのだが、
力み過ぎて空回り気味なのだとか。
周囲が止めても睡眠時間削って複数企画立案するわ、しかも全部自分でやろうとするわ、挙句の果てに
アイドルのロケ出先にもこまめに顔を出す始末。
熱意はご立派ながら、あれもこれもと欲張り過ぎてどれも中途半端になってるそうで。
これは私も経験がある。疲労困憊を達成感と勘違いして完成度がおざなりになってしまうのだ。
徹夜で仕上げた会心の出来(のつもり)が、一夜明けて見返すとろくなクオリティではなかった現象に近いだろうか。
事情は分かった。身内が止めても聞かないなら、外部(我々)が介入するしかあるまい。
視野狭窄になっているならちょいとエサで釣り出して気を逸らせばいい。
「餌……エサ??」
そうです、貴女ですかのせなさん。
社長好みドストライクな衣装でかわいい演舞やれば、仕事ぶん投げてでも見に来るでしょう。
なんのかんので私も社長との付き合いは長い。彼の好みは熟知している。
「…って、これ!!」
どうやら覚えていたらしい。
ラボに来る前、お試しで撮ったPVテスト(
sm36327310)。その秘蔵衣装である。
なんでこれを教授が知って!? とウガウガ抗議されたが、バラしてしまうと前に社長に見せてもらった
からだ。口止めされていたが社長のためなら仕方ない。クレームはあちらに。
「かのせなさんが白ワンピで演舞すると聞いて!!!!!!!!!!」 はっや、もう社長釣れた。
ほらほら文句はあとあと。それじゃ夏の一幕にふさわしい爽やかなの行きますよー。
2024/08/14追記・サムネイル静画
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