都市巡礼 #2
解説:
https://note.com/ukiyojingu/m/md67e7f3dc739 都市は私にとって、魅惑と畏敬の対象であった。清々しい碁盤の目のような街並み、そしてその中でシステマチックに動く人々の姿は、私に数学的な美しさを感じさせる。効率的にかつ論理的に設計された無駄のない都市は、言うまでもなくディストピアであるが、とはいえユートピアでもあることは言うまでもないだろう。数学的な完全さ、圧倒されるこの感覚は、カントが「崇高」といったそれと同じだろうか。反復された都市の光景を見ながら、そのようなことを考えている。
システマチックな近代都市のあり方は、ハワードが19世紀末に「田園都市」を提唱し、そしてコルジュビエ20世紀冒頭に「輝く都市」と提唱して以降が印象的だ。無数ものビルが中心となり、まるで住民がコントロールされながら生活する光景は、人類の進化のようなものを強く感じとても好印象に思える。しかしながら、そんな都市の姿が実現されたことなど、過去に一度もなかっただろう。秩序の中に抑え込まれた人々が内包する無秩序さ、すなわち人間性が爆発したからだ。そんな都市の動態的な美しさ、そしてその中での自分の位置づけを再定義することが、私の原動力となった。
コントロールに離反する人間性。そんなことが望まれたのはもう半世紀ほど前にことになりつつあるが、とはいえ、現代社会は紛れもなくコントロールされている。私たちはプロトコルによって強烈に制御されたデジタル空間を避けて生きてゆけない。Twitterの無秩序的なコミュニケーションだって、いまやイーロン・マスクの掌の上で展開されているに過ぎない。私たちがどれほど電子回路に依存しているかは、ここ3か月の間で発生したニコニコ動画のハッキングがそれを示していただろう。デジタル空間からシャット・アウトされた私たちのどれほどが、別のデジタル空間を志向したことか。いずれにせよ、こうした事情により私は今一度「都市」を望む。
電子回路から人間性を取り戻すこと。誰しもが「エレクトロニクスの首輪」が課せられ、数字に還元されてゆく時代で、数字に還元されない固有性を見つけること。その探求は、都市の中での自分自身の位置づけを再確認し、再構築する試みである。十年後、私はこの作品を振り返り、その不完全さに眩暈を感じるかもしれない。しかし、その不完全さこそが、都市の魅力ではなかろうか。誰かを見つけること、そして「 」を付けて客体化し、改めて見つめること。その反復、巡礼こそが、いま求められている。
ukiyojingu作品集『都市巡礼』2025.12.30 release
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