「事務所でのれぷさんの立場が危ういのです」
れぷさんの第一声はいつになくシリアスなものだった。
仲良くやっていると聞いていたアイドル事務所だが、やはり人が集まれば軋轢は生まれる。
特に彼女はかのせなさんの2Pカラー、新参でありつつ古参関係者という微妙な立場だ。
快く思わないものが出てくるのもやむなしか。
「端的に言えば、れぷさんはジュニアちゃん達に舐められてます」
ジュニアちゃん、というのは事務所預かりアイドルの卵たちだ。
小学生が中心で、日々デビューに向けレッスンに励んでいる。彼女らにとってかのせなさんは
良きお手本でありお姉さんなのだが、どうやられぷさんはそうではない……らしい。
「甘えすぎだと。かのせなさんにべったりだと怒られました」
それをジュニアちゃんズに指摘されたと?
「はい」
……自業自得では?
「まずは話を聞いていただきたい」
聞きました。やはり自業自得でした。
レッスン休憩中、かのせなさんにくっつく、膝枕を独占する、あまつさえそのままスヤァして
かのせなさん動けなくなる、おやつ時隣をキープ、あーんをねだる、口元を拭いてもらう。
ムーブがまんま大型犬のそれである。いや、わんこの方が賢いかもしれない。
ラボ内では微笑ましく見守られている駄犬っぷりだが、まさかお外でもやらかしていたとは。
「粗相みたいに言わないで下さい」
似たようなものです。
「そこでれぷさん考えました。いっちょカッコイイ演舞決めればジュニアちゃんたちの見る目も
変わるのでは。これまで通りかのせなさんにくっついても怒られないのでは、と!」
なんというだけん思考。頑張るベクトルが方向音痴である。
「ジュニアちゃんにお見せするので、今回はせんしちぶ封印で。
こんなこともあろうかと、かのせなさんのメイド服をれぷさんアレンジしたものを用意しました」
さあ、カッコイイのを撮りましょうさあさあ! と引っ張られる。散歩をねだる大型犬である。
とはいえ、いつものんびりなれぷさんがやる気出してるのはいいことだ。
彼女の思惑通りにいくかはさておき、ここはかわいカッコイイのをばしっと決めたいところ。
後日談。
尊敬の念を受けたジュニアちゃんたちもれぷさんを甘やかすようになり、レッスン場が
だけんハーレムと化したので、かのせなさんも含めて全員社長に怒られましたとさ。めでたし。