TTさんお誕生日おめでとうございます。
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朗読、車窓と懐古
Poetry: Scenery and Nostalgia
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Music / Words / Arrangements / Movie
- CARDAMOM P (
https://x.com/crdmxm?s=21&t=MwTU7gTCdFp7lz6P4Z4uqw )
Reading
- Nurse Robot Type T
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月の見えない夜です。
遠方に用事のあった私は初めて乗る私鉄の吊革に身を委ねております。暦の上では満月の筈ですが雲が蔓延っていまして、工場の近くの海は特に反射光を求めず静かな様子で、ちょうど臨海部の灯りと窓の外を見る私とが同化する具合に映っています。見慣れない駅名表、そこでは当たり前の快速通過駅、初めて乗る私鉄というものはやはり程よい緊張感でもって退屈さを忘れさせてくれるものです。
ふと、目をやると、住宅の群れと雨上がりのアスファルトに滲む青信号が見えます。私はその時、そこにあった筈の緊張が少々解れるような感覚を覚えます。妙です。
確かにこの路線は復路ですので、理屈では往路見た景色ではありますが、見ず知らずの土地の、ましてや住宅街などすぐに忘れてしまうものの筈です。ですが、宛のない懐かしさがその時確かにあったのです。
ああ。
夜の車窓というものは、どれも似たようなものだったのです。視界は制限され、そこにあるのは光のみ。そしてその光というものは言うまでもなく車内の明かりも含むのです。
そして、その明かりによる、車窓の反射光。それこそが私でした。