語らねばならないわね…。
ことねにも教えてあげるわ。私の"藤田ことね"への執着の理由を。
私は幼少期からアイドルとしての英才教育を施された。そしてトップアイドルへの登竜門となるこの初星学園で活動を続け、プリマステラの名を受け継いだ。
それから私は"プリマステラ"を、学園だけじゃなくアイドル界の誉れある称号にしようと、更なるパフォーマンスとアイドルへの道を極めようとしたの。
1人、2人、3人…。私は次々と、腕利きのアイドル達とステージで力をぶつけ合った。
そこに私の成長限界がやって来た。
私は諦めずに鍛錬を続けた。私なら限界を突破出来ると信じていた。
─────けれど私のパラメータは一切伸びなかった。
私は次々と新しいレッスンを試した。そして数値にするまでもなく実感できる手応えの無さに肩を落としたわ。
私は毎日鏡に写る自分を覗き込んだけれど、僅かでも成長を遂げたパラメータはやっぱり一つもなかった。
伸び代無き者はアイドルの舞台から去るしか無い、と言われているように思えたのよ。
私の夢が遠ざかるのを感じたわ。信頼してくれる後輩達や応援してくれているファンをいつか裏切るかもしれない、という悲しみが計り知れなかった。
その時痛感したの。"私の後継者を育てたい"と。
それと同時に決断したのよ。"アイドル科卒業後はP科に進む"、"優秀なPとなって、自分の手で後継者となるダイヤの原石を磨き上げる"と。
その子になら周りがついて来る。その子なら私の夢を叶えてくれる。其処にアイドルとしての十王星南など不要。
私はその時ことねの途轍も無い成り上がりへの渇望と、その秘めたアイドルパワーに惚れたのよ。
「ことね、来てはダメよ! 今すぐここから逃げなさい!」
「…成程、貴女が例の"藤田ことね"という訳ね」
「…。そうだ」
「星南の話で、大方は把握していたわ。要はこの子…自分自身の為にあなたを利用していただけなのでしょう?」
「黙れよ…」
「お前に…お前に星南先輩の何が分かるんだ! 星南先輩がどんな思いで、最後の学園生活を送っていたか…どんな思いで、あたしの事をスカウトしようとしてたのか!」
「実の姉だか何だか知らねーけど! あたしの方がよっぽど星南先輩の事、よーく知ってっからな!」
「ことね…」
「随分と喋るお口…そのVoパラメータで、よくそんなに言葉が出るものね。…とは言え、口喧嘩しにここへ来たのではないでしょう?」
「ああ…そうとも。お前をコテンパンにして、星南先輩を助ける! そんで今回の騒動の落とし前…しっかり付けさせてやるからな! 覚悟しろ、十王月南(るな)!」