18歳になった私は、何かになりたかった。
夢いっぱいで故郷を飛び出して、飛行機の上からテレビで見てたレインボーブリッジとか東京タワーとかを見たとき、ああ、私はついに大人になったんだなぁって思ったことを覚えてる。
でも、もうそろそろ10年になろうかという東京の生活で覚えたことといえば、敬語とおべっか、パソコン、それにお酒の味ぐらい。
「おいおい、浦安は東京じゃないぞ。」
同棲する恋人が、茶々を入れてくる。
「うっさい。感慨に浸りながら飲むお酒が、一番おいしいの。」
「そういえば、セイカの夢って何だったんだ?」
「笑わない?」
「まさか」
「東京でビシッとしたスーツ着て、かっこいいお姉さんになること」
「……」
「なによ」
「あっはっはっはっは!」
「なによ! 笑うな!」
言ったところで収まる気配はない。
ああ、こういう日々がきっと、夢のあとさきってやつなんだろう。
後悔は、またそのときに考えるとしよう。