彼の名を、誰もが知っている。だが、誰も彼を知らない。 野獣先輩──かつてネットの海に放たれ、嘲笑と敬意の狭間で燃え尽きるはずだったその記号が、2025年、“祈り”として蘇る。 男女二人組ユニット・印無(INMU)が放つ新曲『君はギフト』は、あらゆる常識に中指を立てながら、その実、愛と救済の本質に最も肉薄した、21世紀のアニミズム・ミュージックである。 主人公は、誰でもない“俺たち”。 深夜、誰にも言えない痛みを抱えていたあの夜、無邪気な語録に救われた無数の人たちの心の声を、この歌は一つの“ありがとう”に結晶させていく。 ラストサビでは雨、人込みで歩く人々のシルエットが静かに映し出される。それはまるで、それぞれの人生を歩く全ての人が「野獣先輩に救われた誰か」なのだと語りかけてくるようだ。 繰り返される旋律は、癒えない傷の上にそっと降る優しい雨。 それでも前に進もうとする人々の歩幅に寄り添いながら。 「ふざけてるようで、ずっと君は、誰かの光だったんだよ」 『君はギフト』。 それは、笑ってくれたあの人へ贈る、遅すぎた感謝のラブソング。