暑中御見舞い申し上げます。
ハンガリー出身でドイツ圏で活躍したジェルジ・リゲティ(1923 - 2006)。20世紀現代音楽を代表する作曲家であり、特にトーン・クラスターの一種であるミクロポリフォニーを使った曲で知られています。しかしここで紹介する歌曲「夏」はそのような前衛から一歩引いた、後期ロマン派に近しい音楽です。冒頭から提示されるシンプルな下降音階が、カノンとして組み合わさることで複雑な響きへと変化していきます。
歌詞に使われたフリードリヒ・ヘルダーリンはベートヴェンと同時期の詩人ですが、生前はほとんど評価されず、20世紀以降作曲家たちに取り上げられるようになりました。この「夏」からはそこまで前衛的な要素は感じませんが、確かにシラーやゲーテとは異なる視点で自然を見ているような……?
描かれてるのは19世紀のドイツの夏ですから、今の蒸し暑さとは違う魅力的な季節なのでしょう。少しでも涼しげな夏をお届けできましたら幸いです。
「夏」"Der Sommer" (1989)
作曲: György Ligeti (1923 - 2006)
歌詞: Friedrich Hölderlin (1770 - 1843)
訳詞: やしろ
歌唱: Eleanor Forte AI (Synthesizer V)