第十六回ボカロクラシカ音楽祭参加作品です。
採用テーマは「転調」ですが、定旋律以外のパートは「ヴォカリーズ」で歌っております。また定旋律は17回現れますが、これを「主題と16の変奏」と考えるとテーマ「16」にも合致するといえるでしょう。
ジョン・ブル(1562?-1628)は英国ルネサンス音楽を代表する音楽家の一人で、ウィリアム・バードと同時期に活躍しました。走句の華麗さ、そして対位法の巧みさが作品の特徴とされています。
今回選びました《ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ》は16世紀よく作曲された、ヘクサコードと言われる主題(そのままドレミファソラと上がり下がっていく)による変奏曲ですが、同じ主題が何度も転調を繰り返し、12の長調全てで現れるのが特徴です。このため、原曲は鍵盤楽器のために書かれていますが、当時採用されていた中全音律では途中で音が濁り演奏が困難になってしまいます。平均律のような調律が既に知られていたのか、はたまた残存する楽譜は弦楽合奏などのための作品を編曲したものなのか……研究者の間でも意見の分かれているようです。いずれにせよ、当時の音楽理論の可能性を追求した実験的な作品といえるのではないでしょうか。
今回は4声のための合唱曲として演奏させていただきます。ルネサンス音楽特有の清純さと、随所に現れる意外な転調が際立ったコントラストをなす作品をお楽しみいただければ幸いです。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ "Ut, re, mi, fa, sol, la"
作曲: John Bull (1562?-1628)
編曲:やしろ
歌唱: Eleanor Forte AI, Saki AI, Liam, Asterian (Synthesizer V)
この曲の背景も興味深い内容ですので、解説動画を作成しました(
sm45701580)。ぜひご視聴ください。