要約<br>藤原直哉氏による2026年1月7日の講演「21世紀はみんながリーダー」では、今年の組織運営において「知恵と機動力」が極めて重要であることが強調された。<br><br>藤原氏は、知恵と知識の違いを明確に区別し、知恵を「天から授かった本能に近いもの、特に教えられなくても知っていること」と定義した。これは良いか悪いか、得か損か、やるべきかやらざるべきかの判断を、データを積み上げる以前に直感的に理解する能力であると説明した。現在のような変化の激しい時代において、データ分析や論文作成よりも、まず知恵で結論を見抜くことが重要であり、説得のためのデータ収集はその後に行うべきだと主張した。<br><br>機動力については、「迅速かつ的確に行動する能力」として定義し、機動隊の機動という言葉から引用した。藤原氏は、コンプライアンスや手続きに時間をかけることは、結局のところ失敗した時の言い逃れに過ぎないと指摘した。投資を例に挙げ、「儲かっている時は誰も文句を言わないが、損をした時にコンプライアンス違反を指摘される」という現実を説明し、成功することを前提とした行動の重要性を強調した。<br><br>藤原氏は、背水の陣に置かれた状況での人間の能力について言及し、絶対に失敗できない状況では直感が働き、馬鹿力や耐久力が発揮されると述べた。このような状況では、人の頭と体の層が転移し、「ドヨンと淀んだ水が沸騰して蒸気機関車を動かす蒸気になる」ような変化が起こると表現した。<br><br>現代社会の問題として、フェイクメディアの蔓延により、大抵の人の話がでたらめであることを指摘した。出口なおの言葉を引用し、「人民三分にならず」として、理解している人は3パーセントに過ぎず、97パーセントは訳が分からない状態であると説明した。このような状況では、97パーセントの意見を聞いて進路を決めれば失敗は必至であり、3パーセントの理解者は各所に散らばっているため、直感と背水の陣での機動的な行動が必要だと主張した。<br><br>平成時代の経営について、1990年前後のロンドンでの日本株取引開始を転換点として挙げた。それまでの日本企業は貸借対照表を気にせず、知恵と機動力で経営していたが、戦争世代の引退と戦後世代の経営参画により、数字重視の経営に変化したと分析した。特に野村證券の利益供与事件後、新社長が「株価を上げることが経営目標」と発言したことを例に挙げ、これが日本企業から知恵と機動力を奪った象徴的な出来事だったと述べた。<br><br>最後に、1982年のロンドンでのIRAテロ体験から始まった新自由主義の時代が終わり、新たな時代が始まったことを示唆し、過去の屁理屈では成功しないため、知恵と機動力を持って行動することで道が開けると結論づけた。<br>