僕達の標本
たとえば 僕らが本当の人間だった頃には
遠くで輝やく君の姿に
面白おかしいあだ名を付けていたんだ
軽蔑するかい?
嘘などつくなど不健全
ガラスでできている心が砕けた
神経質で無意味
相次ぐ偶然にまた翻弄されて目をまわす
大笑いして
たとえさ
気取った本当の人間なんかに興味ない
窮屈そう
君ならどうしたい?
むこうで獣が獲物に襲いかかっている
空腹で倒れそう
見なよあれが噂通りなら志願兵
砂の嵐
咳が止まらない志願兵
そう此処は火星の赤い土 志願兵
いつの間にか疑問も持たない志願兵
さあ 行こう君のもとへ
さあ 来なよ僕のもとへ
間に合わなくなる前に
はぐれてしまわないように
軽蔑するかい?
幾億年積み累ねた荒野の上増えつづけて
目的地も知らない儘
目指す場所も訊いていない儘
誰もが遅れない様に
彼奴に襲われぬ様に
目的地なんて些細なことなど気にしない儘
さあ 行こう君のもとへ
さあ 来なよ僕のもとへ
さあ 行こう君のもとへ
そう 僕はただの志願兵
たとえば何かに間に合わなくなる前に
逸れて終わないように
たとえば世界が凍りつく前に
見なよ
窮屈そう
君ならどうしたい?