信仰が足りなくなっているのは、薄々と。
こうして直接的な影響が現れる前から、薄々と感じていました。
当然です、最後に力を使ったのは随分と前でしたから。
人の役に立てない私の事を信じてくれる人なんて、数える程しか残っていません。
でも、それでも信じてくれる人が残っているから。
私は神様として、最期までこの場所に居続ける事にしました。
子孫の一人が、不老の身体を手に入れてしまったと。
顔を青ざめながら小さい身体で私に泣きついてきました。
何やら怪しい肉を口にして以来、身体の成長が止まってしまった。
傷も病も、不気味な速度で治るというのです。
人は人と歩み、人と同じ時を生きるもの。
治してあげようと思いました、治してあげられませんでした。
私はもう、人の役には立てなくなってしまいました。
子孫の子と暮らし始めてから、沢山の時が経ちました。
どれくらいかと聞かれたら、人の子が生まれて、亡くなって。
また生まれて、亡くなって、それくらいの時間です。
私にとっては慣れたものですが、人間であるこの子は。
アイちゃんは段々と、段々と摩耗しているように見えます。
私にしてあげる事は何もありません、貰ってばかりの毎日です。
私がこうして此処にいる意味は、今もまだあるのでしょうか。
それからまた、沢山の月を見届けた夜の事でした。
アイちゃんが二人の子供を抱えて帰って来たのです。
それとも、一人と一匹と表現するべきでしょうか。
弱音を吐かなくなった彼女が、私にお願いをしてきました。
感情を表に出さなくなった彼女が、私に縋ってきました。
それがなんだか嬉しかったなんて言ったら。
きっとアイちゃんは怒ってしまうので、これは内緒にしておきます。
私は子供達を助けました、信じてくれたアイちゃんの想いを使って。
もう、月を見届ける事も出来なくなってしまいました。
今の私にはアイちゃんの顔も、拾われた二人……
りっちゃんの顔も、ミコちゃんの顔も見る事が出来ません。
出来る事なら、アイちゃんを残して消えるのは避けたい。
役に立てずとも、最期まで此処に居続けたいんです。
これが私にとって、最後に叶える願い。
私が私自身を信じて願う、最後の想いです。
どうか、アイちゃんがもう望まぬ涙を流さないようにと。
私は明日を目指し続けると、心に決めました。
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