要約
藤原直哉氏による「21世紀はみんながリーダー」の講演では、AIの実用化における現実的な課題と活用方法について詳細に論じられました。
藤原氏は、AIハイプ(過剰宣伝)の終焉について言及し、1999年のドットコムバブルとの類似性を指摘しました。当時のインターネット株の暴落後に真の価値ある企業が登場したように、現在のAIバブル崩壊後に本格的な実用化が始まると分析しています。2017年から2018年のビットコイン暴騰・暴落時にプーチン大統領がブロックチェーン技術の研究を指示し、現在ロシアがブロックチェーン決済システムを実際に運用している例を挙げ、バブル崩壊後の技術普及パターンを説明しました。
AIの実用性について、藤原氏は「AIは非常によく間違える」という前提での活用を強調しました。特に細かい作業において頻繁にエラーが発生するため、使用者には間違いを訂正する能力、すなわち一から十まで自分で業務を完遂できる能力が必要だと述べています。これは課長と部下の関係に例えられ、仕事のできる課長が部下の成果物をチェックし修正するのと同様のアプローチが求められるとしています。
AIの特徴的な利点として、際どい課題にも躊躇なく取り組む点を挙げました。人間であれば失敗を恐れて避けがちな困難な作業でも、AIは全力で答えを出してくるため、その結果を人間が評価・修正すれば良いという使い方を提案しています。また、何度やり直しを命じても嫌な顔をしないAIの特性を「夢の部下」と表現し、通常の職場では不可能な完全なやり直しも気軽に依頼できる点を評価しています。
構想力の重要性について、藤原氏はAIへの質問や指示の仕方が成果を左右すると説明しました。従来は企画部やコンサルタント会社に依頼していた詳細な事業計画の作成も、現在はAIが短時間で対応可能になっています。ただし、最終的な選択は人間の直感に依存するとし、「いつ、どこで、何が」という三要素が揃った瞬間の判断はAIには不可能で、人間固有の能力だと強調しています。
デジタルとアナログの共生関係について、現代社会では一人一台のデジタル端末を持つインフラが整備されており、スマートフォンの顔認証機能などにより人間とデジタル機器が一体化していると分析しています。この環境下で、人間は細かい計算や複雑な運賃表の確認などから解放され、より高度な精神性と物質性の共存が可能になるとしています。