プランBなので初投稿です。
──以下怪文書──
珍しく、静かな宴会場の中、赤髪の彼女は座っていた。
──今日は一人なんだね。
「ああ、近頃は容態が安定していてな。教主が近くにいるなら外を出てもいいと、ヒルデからも許可が出ている」
ヘイリーは、普段よりも随分と落ち着いた様子で、言葉を返した。
「とはいえ、いつ再発するかも分からないのだがな……私自身の体だと言うのに、恥ずかしい限りだ」
──しょうがないよ。理由が理由なんだし、誰もヘイリーを責められはしないよ。
「そう言って貰えるならありがたい」
そう言うヘイリーは、どこか申し訳なさそうに笑っていた。
──それで、今日は何が食べたい?
「そうだな、いつも通り教主のおすすめでもいいが、たまには炊きたての白米でも──」
その時、宴会場の扉が、大きな音を立てて開かれた。
「きょぉぉぉしゅぅぅぅぅ!!」
宴会場の中を劈いて響き渡った高い声、それは妖精の女王・エルフィンであった。
「今日もごはん食べに来たわよ!! ってあら、ヘイリーじゃない! ヘイリーもご飯を食べに来たの?」
「ああ、ちょうど何を食べようか考えていてな」
「そうなの? なら一緒にケーキ食べましょ! 教主が作るケーキもすっごく美味しいのよ!!」
「おお! そうなのか!」
二人揃って目を輝かせ、期待の眼差しを向けてくる。こうも過度な期待をされると、プレッシャーが掛かるのだが……
──それじゃあ、二人ともショートケーキでいい?
「うん!」「ああ、頼んだ!」
威勢のいい返事に免じて、腕を振るうことにした。
二人の前にケーキを置くと、それが目の前に来るや否や、エルフィンはコンバインが如く頬張り、対してヘイリーは静かに、ケーキの味を確かめていた。神妙な顔つきで味わっていたヘイリーだったが、お気に召したのか、最後には、その頬は綻んでいた。
その様に胸を撫で下ろしていると、エルフィンがヘイリーに話しかけていた。
「ヘイリーは、イチゴは最後に食べる派かしら? それとも最初? ちなみに私はね──」
「ふふっ、女王らしいな」
他愛もない、特別でもない、ごくありふれた会話。しかし、自慢げに語るエルフィンを、静かに眺めるヘイリーの顔は優しく、そして自然に笑っていた。
私は、ヘイリーが語っていた、一つの話を思い出していた。
──かつて、部下たちと食事を囲みながら過ごした、平和な時間を思い出す──
時間も場所も種族も違えど、それはこんな瞬間だったのだろう。
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