オリジナルの朗読台本で、台本の配布も行っています。
縁があって7月誕生日の方とお話をしていたら
「蓮の花は7月に咲き始めて、終わりごろに満開になる」と聞いて、フィーリングで書き下ろしました。
悪意のある改変や、再配布などは禁止です、それ以外は自由に使えるようにしておきます。
台本
蓮の花が咲くころに思い出すことがある
子供のころ、田舎のおばあちゃんに会いに帰った時のことだ
退屈な親戚の話から逃げ出すように外に出たら
空が泣き出すように大粒の雨が降ってきた
すぐに家に戻りたくなくて、無人のバス停に逃げ込んだ
バス停にはかわいらしい先客がいて、「にゃあ」とあいさつしてくれた
こんにちはとあいさつをすると
猫は興味をなくしたかのように眠り始めてしまった
手持無沙汰で空を見上げると
もう灰色の空のはしっこは明るくなっていた
雨は、すぐに止む
猫を見た
変わらずすやすやと眠っている
体が濡れている様子は、全くない
雨が来るのが、しかも通り雨なのがわかって、このバス停に来たのだろうか?
考えていると、猫が顔を上げ、目を細めてゴロゴロと喉を鳴らした
おそるおそるなでると、のどの音は大きくなった
雨と関係はないかもしれない
ただ、ここがお気に入りで、日差しを防げるから昼寝場所に選んだのかも?
考えるうちに、雨は上がった
もうそろそろ、親戚の退屈な話は終わったころだろう
ひょっとしたら、心配されているかもしれない
猫に「またね」と、手を振って帰った
猫は片目だけあけて「にゃ」といってくれた
祖母の家に行くたびに、バス停をのぞくが、猫にはまだ会えていない
ただ、まっすぐにお空に伸びる蓮の花と、入道雲を見ると
雨の中、またあの猫に会えるような気がして
少しうれしくなってしまうのだ
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