企業の内部留保が600兆円を超えた。「企業はもっと従業員に還元すべきだ」という声が高まる一方で、その背後には日本の雇用システムと経営文化の根本的なジレンマが隠されている。
なぜ企業は巨額の現金を「貯め込む」のか? 果たして、経営者の臆病さの表れなのか?
法人企業統計で、法人の内部留保が600兆円を超えたという報道があった。この600兆円をめぐって特に労働組合などからは「そんなにお金があるなら、従業員の給料をもっと上げて生活を良くすべきだ!」という主張が声高に叫ばれる。
ただ、経済学的に見ると、いくつか押さえておくべきポイントがある。
まず、ミクロ経済学的に考えると、法人の業績というのは好況時と不況時で大きく変動する。その変動を最も受けるのが労働者だ。
世界を見渡せば、業績が悪くなったときに雇用を調整したり、場合によっては給料を下げたりして経営をコントロールする国が多い。
特に欧米の企業は顕著で、業績が悪くなると雇用を削減して人件費を下げ、そのぶん利益率を確保する。当然、多くの失業者が生まれる。
だが、彼らのほとんどが路頭に迷うかと言われるとそうではない。別の産業に移り、産業全体としては生産性の高いほうへ人材が流れていく仕組みが機能する。
一方、日本の場合は法制度や慣習上、そのコントロールが非常にやりにくくなっている。(続く)
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