朝!食堂でスウプを一さじ!すっと吸ってお母さまが!「あ!」 と幽かな叫び声をお挙げになった!「髪の毛!?」 スウプに何か!イヤなものでも入っていたのかしら!と思った!「いいえ!」 お母さまは!何事も無かったように!またひらりと一さじ!スウプをお口に流し込み!すましてお顔を横に向け!お勝手の窓の!満開の山桜に視線を送り!そうしてお顔を横に向けたまま!またひらりと一さじ!スウプを小さなお唇のあいだに滑り込ませた!ヒラリ!という形容は!お母さまの場合!決して誇張では無い!婦人雑誌などに出ているお食事のいただき方などとは!てんでまるで!違っていらっしゃる!『斜陽!』 太宰治!
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