〜数日前〜
『ずんだもーん、遊びに来ましたよ〜』
天井からやって来た彼女はいつものように呼びかけた。
『おや〜? 留守なんでしょうか〜?』
今日は珍しく、すぐに返ってくるはずの声が聞こえなかった。舞い上がった煙が晴れて視界が良くなると、彼女はお目当ての人物——いや、妖精を見つけた。
『ふふっ』
ずんだもんはパソコンが乗ったデスクに突っ伏したまま寝ていた。パソコンの画面には動画の編集ソフトが映っていた。
「ふへへぇ〜、りぃち〜」『タオルケットでも掛けてあげたいです〜。無いのがとっても残念ですけどぉ……』
そう言ってずんだもんに近づいた彼女は、ふと違和感を覚えた。
『この対局ってぇ、もしかして去年の9月のじゃないですか〜?』
彼女は自身の記憶領域から心当たりのある日付を探ると、まったく同じ場面を見つけてしまった。
『ちょっと失礼しますね〜?』
マウスを勝手に動かし、編集の進捗を確かめる。
『……ここにあるのってぇ、シークバーですよねぇ? この長さを見るとぉ、まだ4分の1も終わっていませんねぇ……』
彼女はぐっすりと眠っているずんだもんに目を移した。
『……幸せそうな顔ですねぇ』 ぷっくりとしたほっぺに向かって、すっと彼女の人差し指が近づく。
『つん』「ゎにゃぅぁ」
ほっぺたは弾力がよく、もちもちのお餅のような感触だった。
『人の姿でもぉ、やっぱりずんだの妖精さんなんですね〜♪』
その後もほっぺで遊んでいたが、ずんだもんが起きる気配はなかった。口もとを見ると、そこは少しだけ開いていた。
『ちょうど指一本ぐらいの大きさですねぇ……えい♪』「ふがっ!? ごほっごっ! 役満アガられたからって点棒を口に突っ込むのはやめるのだ! ……ってあれ? そらなのだ……?」『おはようございます〜』
少しの間、ずんだもんは虚ろな目で不思議そうに彼女を見つめていた。
「……ッハ! ボ、ボクのずんいーそーは!? 全国大会はどうなったのだ!?」『一体どんな夢を見ていたんですかぁ……(汗)』
二人が揃えば、この空間の賑やかな日常が繰り広げられていく。
『でぇ、ずんだもん?』「どうしたのだ?」『編集の調子はいかがです〜?』「あっ……」『そろそろ一年経っちゃいますかね〜?』「……光陰矢の如しなのだ」『作業亀の如しなだけですよ〜』「が、頑張りますのだ……」『口を動かすより前に動かすものがありますよねぇ?』「はいなのだ……」
次回→まだ
前回→
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